一文別館:東京−浅草

ICHIMON-BEKKAN: Asakusa, Tokyo


 半村良が「小説浅草案内」を書いていた頃は浅草のマンションに仕事場を持っていたようだ.ぜんたい半村良の小説は地図をもとにして小説の地理をつくるそうだが,所々に地図にはない路地を入れてみたり,別の場所に飛んでいったりしてしまうからおもしろい.
 そういうわけで,「浅草案内」を読んだ後も,乙姫でおばちゃんと孫の話をしながら飲んだ後で,まず仕事場のマンションを探すことにした,それは地図を片手に何とか見つけることができた.マンションの向かいにはちゃんと喫茶店「エル」もあり,日を改めてコーヒーを飲みに 行っりした.
 小説の中では「一文屋」といって,一文 100 円の金券を買って中で飲み食いする,ということが書いてあった.うろうろしていた時は,一文屋は見つからなかったが,一文別館を見つけることができた.ちょうど浅草寺病院の向かいの道を少し入ったところだ.

 和風の引き戸をあけ,中に入ると庭園風の作りで,桟と簾で仕切ったテーブル席がいくつか点在し,廊下は枯山水といったおもむきだった.料理はこった造りで,障子は電球を裏からあてて,夕暮れ時のおもむきを出していた.酒は数種類地酒を入れている.

 料金は酒も入れて1万円/人くらいだった.


PS:「酒房一文」は番所のすぐ近くにある.
半村良の小説にあるとおり,一文 100 円の札で楽しんで飲む居酒屋だ.