思い出深いすぐれものたち


 年をとったせいか,昔の記憶がそろりそろりとわき出してしまいます.....
 昔のすぐれものはみんな凛としていたなあって思います.最近のはごてごてし過ぎ.

Marshal Pascal (スペル曖昧)
 MSDOS 用の 7 パス(だったか?)コンパイラ.たしか 'hello, world' が 170 バイトくらいになったような記憶がある.当時 TurboPASCAL 全盛時代で, TurboPASCAL が吐き出す実行ファイルの大きさをはるかに下回っていたのにびっくりしたものだ.

Turbo Pascal 3.0
 いちばんプログラミング経験を鍛えてくれた処理系.エディタ・コンパイラが統合された環境の走り(少なくとも一般の人が使える).実験で使う A/D 変換やタイミング制御なども Turbo PASCAL で完成形になった.それ以前は PS85 (だったか? TEAC の実験制御用 CP/M マシン)上の FORTRAN と Z80 アセンブラ,以降は PC9801 の Lattice C, Turbo-C に移植していった.
 なにしろ,エディタがすぐれもの. VT100 エスケープ・シーケンス対応のフルスクリーン・エディタだった.環境全体でも実行ファイル自体が大きくないので起動も速く, MacPlus をシリアル接続して, 98(PC98LT ですよん)で CTTY AUX してから NinjaTerm で開発していたりした.それで, MSDOS (少なくとも 3.0,最近のは試していない)の DEL コマンドが「よろしいですか? Y/N」に対して,キーを直接検査していることがばれてしまったのだ.手抜き,と言うか...
 4.0 以降になると,速度競争が激しくなったせいか,画面を直接制御するようになっていった.当時は FM-8 の OS-9 で標準入出力や画像のファイル化(PICT と同じ,というとちょっと言い過ぎだが)の洗礼を受けていたせいで,とたんにがっかりしてしまった記憶がある.

PS85 (TEAC)
 当時脳波を分析するには,脳波計から高級オーディオデッキのような FM 変調テープデッキ(もちろんオープンリールです)に記録し,ばか高いシグナルプロセッサで単純加算や FFT を行い,プロッタでグラフ用紙に出力し, 0.5mm ごとに電位を集計用紙に値をメモし, NEC の COMPO BS に先輩が書いて ROM に焼いた端末プログラムを使って大型計算機センターに構内モデムで接続し,キーボードからメモしたデータを打ち込み,統計ソフト (MINITAB, SPSS) の文字グラフィック出力を静電プリンタで打ち出し,なんてことをやっていた.(実験心理の研究室にも ROM ライタくらいはあったのだ.)
 COMPAC に買収されてしまった DEC がまだミニコンの花形だったその頃,実験制御用のミニコン MINC を出した.文系の研究室ではとても購入できない値段で.先輩方といろいろ話し合った.2年分割なら買えそうだが大丈夫か.やはり実験屋のステータス・シンボルみたいなものだったから欲しいな,と.結局あきらめて, TEAC の CP/M マシンにした.メモリ・ボードの不良もあったけれど,ずいぶん働いてくれた.もちろんまだハードディスクなんてない.フロッピーディクスも 200KB くらいで大容量!と言われていた時代のこと.なにしろ,正確な生のデータをデジタル化して残しておく,ということがずいぶん高価だったのだ.
 この頃から,パソコン間のデータの可搬性について考え出したような気がする. PS85 はグラフィックスがたいしたことなかったし,自分で持っているのはドットごとに色を変更できる FM-8 (今では当たり前だけど,当時は色が複数のドット単位でしか変更できないのが普通だったのだ. PC-8001 とか).で,エプソンのハンドヘルド・コンピュータ(これもマイクロカセットが外部記憶装置)とシリアル接続して PS85 からデータを吸い上げ,下宿へ戻って, FM-8 の OS-9 にシリアル接続して,データを落として分析・表示していた. Z80 の裏レジスタは,速度が重要な時にはずいぶん役立つものだな,と思ったりしたのもこの時期.

M5 (ソード)
 MSX が出る前のプロトタイプ的なパソコン. NTSC 出力で ROM カートリッジなどがついていた.これでバイトではずいぶん稼がせていただきました.公文式ドリルでバッターに花吹雪が散っている画面をみた人がいたら,それは私がコーディングしたものです.デザインはデザイナーのおじさん.稼ぎは全て OS-9 環境の充実に当ててしまったけど.
 あのころは電通大の学生さんが ICE でハードデバッグしていて,その横でプログラミング,と結構楽しかったな.

FM-8, FM-11AD2 (富士通)
 自腹で最初に買ったパソコンが FM-8.それまでは研究室の PC-8001,初代 9801 等を使っていた.その頃は三菱の Multi-16 や Sharp の「クリーンコンピュータ」(まるまる 64KB が全て RAM)の MZ-80 や,日立の BASIC MASTER (究極の 8bit CPU 6809!)などを横目で見ていた.やはり,ドットごとに色を変更でき,究極の 6809 をサブシステムを含めて二個!搭載し, Z80 カードで CP/M を走らせることもできるし,当時の技術の結晶!バブルメモリも搭載可!という FM-8 を購入した.その後,第二水準の漢字 ROM (当時は別売だったのだ), Z80 カード,フロッピーディスクドライブ( 320KB * 2 で10数万円)を増設し,とうとう OS-9 にまで手を出すことになった.
 サブシステムは画面,キー入力等を共有メモリを通じて扱うものであった.共有メモリがネックになって,速度こそなかなかでなかったが, YAMAUCHI コマンドで,サブ CPU に直接機械語を実行させ,メイン CPU と並列動作させるという裏技も楽しめるパソコンであった.おまけに Z80 カードはメインの 6809 とメモリを共有し,リセット無しで切り替えて使うこともできたのだ.うーん,今書いていても面白い機械だったなあ,と思う.
 ただ日本語は苦手だった.グラフィックも 640*200 ドットで日本語フォントは縦長になったし,日本語入力も漢字コードを1文字ずつ入力するものだったと思う.
 FM-11AD2 はほとんど OS-9 専用マシンとして使った. FM-8 の伝統を受け継ぐ由緒正しいアーキテクチャであり ^^;; ハードディスクも 10MB! メモリも1プロセスは 64 KB 制限があるが仮想メモリ機能もついていた(メモリマッピングの関係で時々落ちたが).その後,サピエンスの(ジャンパが飛び交っている) 68000 ボードをつけて OS-9/68000 で遊んだりした.

キャラクタ指向 Smalltalk (DIGITALK) 名前なんだっけ?
 Poor computer's SmallTalk.

Smalltalk/V (DIGITALK)
 Poor man's SmallTalk.

TLC/Lisp
 大型計算機の Lisp はほとんど使ったことがない.大学院時代に Inter-Lisp をちょっと触った程度.パソコンの Lisp はいろいろ触った.その中で,(たしか)末尾再帰がちゃんとループになることが売りだった処理系.むりやりラベルをつけてループさせることもないと感心した.

muLISP-87
 まともにプログラムを組んだ初めての Lisp 処理系.コンパイラもついていた.

OS-9/6809, OS-9/68000, BASIC09, LISP09
 FM-8 の拡張バスに RS-232C, パラレル,タイマチップが乗ったボードをつけ, OS-9/6809 を動かした.何とメインメモリ 64KB でマルチタスク,マルチ画面で, 8bit CPU にもかかわらず,初代 9801 をはるかに上回る計算速度と計算精度でプログラムを実行できた.日本の代理店星光電子が,まだ渋谷のマンションの1室にあった頃,訪ねていって親切に教えてもらったことを覚えている.
 Basic09 では,統計処理,グラフ化プログラムで研究にも大いに役立ったし,「倉庫番」(なつかしい!)を移植して遊んだりした.
 浅草に下宿していたので, OS-9 ユーザーズグループの例会にはほとんど出ていた. OS-9 の会なのに,わざわざ Macintosh を持ち込んで bug や TI 電卓のエミュレータを見せてくれた先生もいたし,飲み会ではいろいろな年代の人たちと知り合いになることができて,とても楽しかった.またパソコン通信が立ち上がり出したのもその頃で, ASCII net (の前身)でサービスしていた rogue をやりたいばかりに vt100 機能付きの端末エミュレータを Basic09 で作ったり, AMI-Net という草の根 BBS で遊んだりしたものだ.原さん元気にしているかな.マルチタスクの利点を生かして, OS-9 はマルチポートの BBS ホストとして当時はずいぶん注目された.

FLEX OS
 6809 用の OS.ちょっとしか触ったことがないが,ファイルシステムがなかなか変わっていたことを覚えている.セクタ単位の管理なのだが,セクタごとに,次のセクタへのポインタを持っていて,数珠つなぎにファイルを手繰っていくという一風変わったものだった.ちょっと Lisp を思い出してしまう.言語処理系はなかなか本格的であった記憶があるのだが良く覚えていない.

COMSOL (ASCII)
 FM-8 で遊んでいた頃に買った整数型 Pascal(?) コンパイラ.当時はオーディオ・テープで提供されていた.カンザスシティ・スタンダードとか言ってね.やっぱりテープでは使いにくかった記憶がある.なにしろフロッピーディスク・ドライブでさえ10万円以上した時代だったのだ.

UCSD P-system
 

SHARP, CASIO のプログラム電卓
 

Z80 アセンブリ言語
 

6809 アセンブリ言語
 

Macintosh Plus (Apple)
 

消え去っていた雑誌たち: CURSOR, MICRO.....
 

PC-9801F, VM (NEC)
 

PC-98LT, U2 (NEC)
 

Apple II (Apple)
 

このページに感想を持たれても,酔った勢いで書いたものなので,書いた本人が覚えていません.
ひとりごとへ
Go to Hitorigoto page