広い間口の真ん中あたりのガラス戸を開け,たたきに入って靴を脱ぐと,下足番のおじさんが下足札を渡してくれる.
忙しそうなおばさんの後をついて,大広間に入る.後ろからはどーんと太鼓の音.
太鼓の音の数で,新しい客の人数を知らせるのだそうだ.でも,10人程度の客だと,さすがに10も叩かなかったけれど.
障子越しに中庭を見ながら牛鍋をつつく.寒い季節は熱燗がいいかも知れない.暖房は,廊下や柱の所々にあるガスストーブがほんのりと暖かい.
牛鍋とすき焼きの違いや,牛鍋のおいしい食べ方などを説明した紙がテーブルに置いてあったが,詳しいことは忘れた.出てくる肉はすごい霜降りででかかったことだけは忘れられない.値段もそれなりでしたが.
最後は霜降り肉のエキスがしみこんだ残り汁を,白いご飯にさっとかけてかきこむ.
二階も一階と同じ大広間が広がっているようだが,それほど混んでいなくて今回は一階だった.こんどは二階の大広間で,ひさご通りの人波を眺めながら熱燗で牛鍋といきたいと思った.
充分飲んで食べると1万円/人くらいか.
1996.1.9